さぁ、夏が過ぎ第一回希望調査の提出が済んだ頃かと思います。
第一回希望調査の結果については、毎年10月の頭に新聞やネット上に掲載されます。
今年は宇都宮市でいうと『宇都宮中央高等学校』
足利市でいうと『足利高等学校』が目玉になるかなと思います。
どちらも今年度の受験から共学化となります。倍率がどうなるかドキドキですね!
うちは『中央高校』を考えているのよねぇ・・・
『特色選抜』をどうしようか・・・
- 一般選抜の学力と調査書の比率
- 特色選抜の募集定員
- 特色選抜の選抜方法
に関しては、栃木県県立高等学校全日制課程の入学選抜の方法と題して以前ブログをアップしましたのでそちらをご覧ください。
本日は、『特色選抜』について突っ込んでいこうと思います。
『特色選抜入試』と『推薦入試』の違い
栃木県も2013年までは高校入試に『推薦入試』方式を行っていました。しかし2014年から『特色選抜入試』に変更となりました。
『推薦入試』とは
『推薦入試』『学校推薦入試』『指定校推薦入試(大学入試の時)』など様々な言い方はありますが、それらについての概要です。
中学校が、高校側に「この生徒は優秀なので宜しくお願いします」と推薦してくれる入試方法です。
この生徒は優秀なので、よろしくお願いします。
分かりました!お預かりします。
基本的には中学校内の会議で「この生徒を推薦しよう」と決定をすれば、ほぼ合格する仕組みです。(注:生徒本人の高校選択があっての話です。)
一応、推薦入試として、面接や作文(小論文)の試験はありますが、顔見せ感覚です。
※これは、高校から大学に進学する時も同様です。
『特色選抜入試』とは
簡単に言うと、『自己推薦』です。前述したように中学校が高校に推薦してくれるわけではありません。あくまで自分で自分をアピールして、高校側が「うちに欲しい」「この生徒なら頑張ってくれるだろう!」と思ってもらえれば合格となります。
私は・・・(自己アピール)
お~!なるほど!この生徒うちに欲しいなぁ!
ってな感じです!(実際はこんな簡単ではありません。)
『自己推薦』なので、『誰でも』『どの高校でも』受験することが可能です。
ただ、言えることは受験すれば、絶対に合格するというわけではありません。
と、簡単ですが、『特色選抜入試』と『推薦入試』の違いです。
では、なぜ、こんな曖昧な入試制度を導入したか?
『特色選抜入試』のねらい
『県立高校の特色化の推進』
現代は、少子化、情報化、グローバル化などが急速に進む変化の時代と言われているが、このような状況は将来も続くことが予想される。このような時代を生きるこどもたちにとって、社会状況の変化に的確に対応しながら、自らの力で困難を乗り越え、自分の未来を力強く切り拓いていける力がますます必要となってきている。
また、高校等への進学率は98%(平成23年度)に達し、中学生のほとんどが進学する状況において、高校生の学ぶ意欲、目的意識、興味・関心、進路希望はますます多様化している。そのような状況の中で、多くの生徒は、夢や希望をもって意欲的に高校生活を送っているものの、一部には、目的意識や学習意欲に欠ける生徒、学校生活になじめない生徒、さらには途中で退学してしまう生徒も存在している。
このようなことから、すべての生徒が充実した高校生活を送り、一人一人が社会的に自立できる力を育む教育活動を展開することが重要な課題となっている。このため各県立高校においては、学校・学科の特長等を生かす観点から、特色化の推進に取り組んでいるところである。
一方で、少子化の進展に加え、雇用情勢の悪化、価値観の多様化、情報化の進展等、高校教育を取り巻く環境変化は今後も継続すると予想されるが、県立高校に対する県民のニーズもそれらにより変化し、多様化していくものと思われる。各県立高校にとっては、豊かな人間性、創造性を養う等の普遍的目標の達成とともに、今後一層多様化が予想される県民ニーズに的確に応えて、特色化の推進に取り組んでいくことが重要な責務となっている。
このため、各県立高校は、自校の存在意義を改めて確認するとともに、その特長や実情等を踏まえ、さらには生徒、保護者、地域のニーズ等も十分把握した上で、生徒の資質・能力等を最大限伸ばすよう、特色化をより一層進めていくことが必要である。
平成23年 栃木県教育員会 県立高校活性化検討部会
要するに、もっと自分で調べて、高校を選んでね!って感じですね。
ネット社会になり、情報は膨大になっています。しかし、全ての情報が空から降ってくるモノではありません。
『自分に必要な情報は、自分で取得する。』
正直、教育委員会の考えに全て賛成するわけではありませんが、こういったことに関しては賛成です。
『特色選抜入試』のメリット・デメリット
『特色選抜入試』のメリット
メリットの代表的なモノは次の3つですかね!
- 誰でも受験可能
- 内申書の比重が高い
- 5教科の試験がない、2月に決まる
誰でも受験可能
言葉の通りです。『自己推薦』なので、『誰でも』『どの高校でも』受験することが可能です。
実力テストや下野模擬テストの結果が、希望する高校のレベルに達していなくても、受験することは可能です。
一発逆転ホームランとなることもできます!
内申書の比重が高い
中学生活、真面目にコツコツと積み重ねてきた方にとっては、それが評価されるいいチャンスです。
- 遅刻欠席早退なし
- 提出物は期限内
- 生徒会、部活、委員会なのでの役員
- 課外活動(運動、検定、ボランティアなど)
などなど、アピールできるモノがあれば、チャンスです。
5教科の試験がない、2月に決まる
これについてはメリットになるかはその人の性格次第ですね。
『特色選抜入試』は下記3つで判断されます。
- 内申書
- 作文(小論文)
- 面接
5教科の試験はありません。この「試験がない」と「2月に決まる」に引かれる方が多いですね!
作文(小論文)、面接が得意!2月に決まった後にやりたいこと(高校の先取り)がある。という考えならいいのですが・・・
なぜ『特色選抜』にするの?
え”っ!?・・・
5教科の勉強をしなくていいから?
2月に合格が決まるから?
あ”っ!?・・・あの~・・・
(バレてる・・・)
まぁ、こういう方が多いですね!
こういった方は『特色選抜のねらい』に反しているので、私は追及しますw
『特色選抜入試』のデメリット
デメリットは基本的にはメリットの逆です!
- 誰でもだけど、誰でもではない!
- 不確実性
- もし・・・となった時
誰でもだけど、誰でもではない!
『特色選抜入試』は『誰でも』『どの高校でも』受験は可能です。それにより、倍率が大変ことになっています。
- 『一般選抜入試(5教科試験)』は0.9~1.5(県内平均倍率1.12)
- 『特色選抜入試』は1.5~3.0(県内平均倍率1.82)
あくまでだいたいですが、このくらいをみておいてください。
特に募集人数の少ない高校、人気のある高校は気を付けて下さい。
例えば、
- 白楊高校の特色選抜の募集定員は、各学科12名。出願者32名。倍率2.67
- 宇都宮中央女子高等学校の特色選抜の募集定員は、24名。出願者75名。倍率3.13
『特色選抜入試』は狭き門です。
ましてや、学力(5教科)が志望校のレベルを満たしていないと、合格した後が大変になります。
実力にあった高校を選択してください。
不確実性
選抜方法は後述しますが、『内申書』『作文(小論文)』『面接』で合否が決まります。
5教科試験のように点数が明暗を分けるわけではありません。
どういった項目がOKだったのか、どういった項目がNGだったのかわかりません。
『推薦』自体そういったモノですが、中学生に割り切れるかどうかです。
もし・・・となった時
『特色選抜入試』の練習(作文、小論文、面接)は早い生徒で12月から行います。
遅くても私立入試後から行います。
ということは、1~2か月くらい5教科の勉強に費やす時間が少なくなります。その間、『一般選抜』のみを受験する方は5教科の勉強をしています。
もし、2月の『特色選抜入試』に合格できなかったら、だいぶ周りと差が付きます。
なので、実力が志望校のレベルに達していない方は、覚悟をして
- 『一般選抜』を受けるか
- 志望校を直前に変更するか
しないといけません。そのリスクがあることを考えておいてください。
『特色選抜入試』の流れ(日程)
- 『特色選抜入試志願理由書』作成期間:12月~1月私立入試明け
- 『特色選抜入試』出願期間:1月31日~2月1日
- 『特色選抜入試』試験日:2月7日、8日
- 『特色選抜入試』合格内定発表:2月14日
『志願理由書』は中学校によって作成時期が異なります。早い中学校では12月頭に先生に提出します。遅い中学校では私立入試後に提出します。
また、この『志願理由書』の作成時に、修正してくれる学校の先生と、全く修正してくれない学校の先生がいます。
『特色選抜入試』の選抜方法(手順)
選抜方法は各高校によって異なりますが、選抜方法の多くは
- 通知表の5段階評価×9教科×3年分=135点満点の点数を、志願者内で順位付け。その中で募集定員の80%以内の志願者で、資格要件を満たしており、作文(小論文)や面接が優秀(良好)な者を合格者とする。
- 上記で選ばれた者を除き、全ての志願者の中で、総合的に判断し合格内定者を選抜する。
注1:上記は2段階ですが、高校によっては3段階になっているところもあります。
注2:上記は80%とありますが、70%や60%というところもありますし、数値を明記していないところもあります。
ということで、重要度が高い順に並べると『通知表』『資格要件』『作文(小論文)、面接』って感じになります。
5段階評価で順位付けされるので、学校では猫をかぶっていた方が良いと思います。
『特色選抜入試』を利用した方が良い人、利用しては良くない人
利用した方が良い人
- 志望校に入る理由が明確である
- 志望校のレベルに実力が達している
- 秀でたモノがある
利用しては良くない人
- 志望校に入る理由がない
- 志望校のレベルに実力達していない
- 受験が早く終わるからという気持ちがある
- 5教科の勉強をしなくてもいいからという気持ちがある
- 楽に入れそうという気持ちがある
- 一般選抜入試(5教科)では入れなさそうだから
- 『チャンスが二度あるから』と思っている
志望校に入りたい理由がそもそもない人が多い!厳しいことを伝えると・・・
どうして理由がないのに『特色選抜入試』を受けたいと思うの?
リスクが大き過ぎる!!
と伝えたい!
『特色選抜入試』のまとめ
『特色選抜入試』は『誰でもだけど、誰でもではない!』
不確実性の高い受験をするよりは、しっかりと実力をつけて『一般選抜入試』を受けた方が良いと思います。ましてや、出願倍率が下がっている今、『一般選抜入試』の方が入りやすい!
リスクを冒しての『特色選抜入試』はオススメできません。
3月の最後まで頑張って勉強をしていた方が、高校に入ってからもしっかりと授業についていけます。
『特色選抜入試』を検討される時は、様々な面から考慮していただき、ご決断ください。
おまけ
『一般選抜入試』の出願倍率が下がっている背景には、私立高校に流れているということがあると思います。
私立高校の説明会に行くと、よく「単願受験者が多くなっている」ということを伺います。
他県の多くは、私立高校に行くことが勝ち組で、公立高校に行くことが負け組みたいなことがあります。
栃木県のように、これほどまで公立高校が勝ち組という県はないと思います。
しかし、ここ数年で栃木県も変わってきています。
公立高校は徐々に衰退していくかもしれません。なくなりはしませんが、より集約していくことでしょう。
私立高校も国からの援助があります。公立高校並みに通うことができるようになってきました。(この件についてはまたの機会にお話をします。)
ぜひ、様々な選択肢をご検討ください。
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